AA(アルコホーリクス・アノニマス)を基としてできた自助グループには、「12のステップ」という回復のための方法があります。
とてもよくできた方法なのですが、日常ではあまり使わないことばが出てきますので、最初は取りつきにくく感じることが多いかと思います。
ただ、ことばの意味が分かれば、理解することはそれほど難しくありません。
(難しいのは”実践すること”なのですよね…^ ^;)
様々な困難を抱えた人にとって、とても役に立つ考え方なのですが、「ことばが取りつきにくいから」という理由で敬遠されてしまうのは、とてももったいない!と思います。
なので、私なりに感じた「ことばの意味」を簡単にまとめておこうと思います。
(⇩関連投稿)
宗教ではないのに神さま?
自助グループなどで使われる「ハイヤーパワー」という考え方、馴染みの無いことばなので、戸惑う方が多いのではないでしょうか。
最初は普通にGODだったようです。
でも、自助グループは宗教ではないです。
この辺の事情が、少し混乱するんですよね。
宗教ではないGODって、何? という話を私なりの解釈で述べます。
AA(アルコホーリクス・アノニマス=アルコール依存症の人のための自助グループ)は、自助グループの草分け的存在です。
第一次世界大戦後のアメリカで、大本になるグループが作られたのですが、AAが考案した回復のための実践方法「12のステップ」には、作られた時代の背景としてキリスト教的な表現が多く入っています。
AAの元になったのは、キリスト教会での勉強会でした。
やっぱ宗教ぢゃん! と思うかもしれませんが、もともと文化や哲学って、その考え方が生まれた場所の宗教と、切り離せないものなんですよね。
西欧の哲学を理解するのにも、キリスト教的考え方が切り離せません。
それでも、キリスト教徒ではないから西欧の文化が理解できない、なんてことは無いですよね。
日本の文化・習慣、日常に使うことばにも、神道や仏教から来たものがとても当たり前に混ぜ込まれていますが、どこの信者でなくても、特に問題なく使いこなせます。
それくらいに自然なものなんですよね。
日本人は歴史的に、宗教アレルギーのある人が多いのですが、
警戒するべきなのはカルトであって、文化や哲学ではないんですよ。
ここはきちんと分けて捉えるほうが安全だ、と思います。
ときどき、自助グループってカルトなんじゃない? と心配する方もいますが、「12のステップ」関連の自助グループには、「12の伝統」という運営のガイドラインがあり、あくまでも素人=当事者で運営され、個人や団体の富や名誉に関わらないように出来ています。
つまり、強制的な入会や、金銭的な要求、反社会的な活動とは、一切無縁なんですよ。
洗脳とは違うの?
また、自身の無力を認め、自身の生き方をハイヤーパワーにゆだねる、という表現から、洗脳の手段を思い浮かべてしまう人もいるようです。
けれども自助グループの目的は、依存症からの脱却ですから、自身の無力さを認めないことにはどうにもできないんですよね。
依存症というはの、依存対象(例えばアルコール)を自分の意思ではやめられなく病です。
自分でどうにかできる!と意地になればなるほど泥沼にはまってしまう…。
その「頑なな意地」を解きほぐすにはどうしたらいいか、というと、自分自身の「外側」に、広く大きな世界に、視点を移すしかないんですよね。
その「広く大きな世界」をコントロールしているのは、当然自分じゃ無い。
人間の思惑とは関係なく、広い世界が厳然と存在している。
つまりそこには、自分よりも大きな力=ハイヤーパワーがある、ということです。
仏教を基としたマインドフルネスという瞑想方法がありますが、それも、頑なな意地を手放して本来のあり方にゆだねる、というものです。
このマインドフルネスも、ハイヤーパワーにゆだねるのと似た感覚だと思います。
文化的なややこしさはとりあえず横に置いて捉えてみよう
この「ハイヤーパワー」ということば、普通に「神」(キリスト教的なGODだけではなく、日本的な八百万の神々なども含めて)でも良いのかもしれません。
けれど、宗教を感じさせる「神」ということばには、歴史上、どうしても争いごとなどの記憶もついてきてしまいます。
文化によっては「この神様を受け入れるのは屈辱だ」という感覚もあるはずです。
なので、あえて「神」は使わず、「ハイヤーパワー」という表現になるんですね。
「神様」を信じなくても、自分の外側には、自分にはコントロールできない大きな世界がある、という感覚は、誰にでもわかりやすいと思います。
自然でも宇宙でも、自分ではコントロールできない大きな世界がある、という感覚。
その誰にでもわかりやすい感覚のことをハイヤーパワーと言うのだと思います。
難しく捉えることはないのだと思いますよ。
Inc. Alcoholics Anonymous World Services (著), NPO法人 AA日本ゼネラルサービス (翻訳)



コメント