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アノニマス,アノニミティ,って どういう意味?

自助グループ

自助グループで使われる「12のステップ」

様々な困難に対処する方法として、とてもよくできたものなのですが、ことばが少し独特で、取りつき難くもあるのですよね。

でも、考え方としては、とてもシンプルでわかりやすい。

取りつき難いから、と敬遠されてしまうのは、とてももったいない、と感じます。

なので、「12のステップ」関連で出て来る、日常ではあまりなじみの無いことばを、自分なりに簡単にまとめておきます。

(⇩関連投稿です)

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「アノニマス」って、何?

自助グループの名称に付く アノニマス や、グループの中で大切とされる アノニミティ ということばに、何のことだろう? と思う人も多いかと思います。

このことばが、秘密結社などを連想させるため、自助グループってアヤシイところなんじゃないの? と思ってしまう人もいます。

でも、そうじゃないんだよ、ということを簡単にお話します。


アルコール依存症の人のための代表的な自助グループで、AA=アルコホーリクス・アノニマスというものがあります。

このAAは、自助グループの草分け的存在です。

自助グループとしてとても良くできていますので、他の問題に取り組むグループも、AAのやり方を倣って運営しているところが多くあります。

「12のステップ」「12の伝統」も、AAが考案したものです。

AAの方法を倣って運営される自助グループの特徴の一つに、○○アノニマス という名称があります。

最初はその聞きなれない名称に、アノニマスって何なんだ? と私も思いました。

アノニマスとは、無名の、匿名の、という意味のことばです。

アノニミティというのは、匿名性という意味になります。

それでよく、秘密結社などが使ったりするので、謎めいたイメージが付いてしまうことばなのですが、本来は単に無名・匿名という意味です。

どうして「アノニミティ」が必要なの?

12のステップ関連の自助グループでは、匿名性=アノニミティが大切にされています。

自助グループにはいろいろな生き辛さ、困難、病気や障害を抱えた人が多く集まります。

身内との関係に葛藤を抱えている人も多いです。

また、障害などを隠して生活してきた人にとっては、身バレをする恐怖、もあります。

周囲から自分の感じ方を否定されてきた経験もあり、自分が「どこの誰であるか」を明示しなければならなくなると、正直な思いを言えなくなってしまうのですよね。

ミーティングは、その正直な思いを出してよい場所です。

自助グループのミーティング内では、今まで誰にも言えず溜め込んできてしまった自身の感情を、安心して話してよい場となれるように、匿名性が保たれています。

世間体を気にしなくていいんだよ、という意味でもあるんですよね。

なので、ミーティング出席者やグループ内で聞いたことは、誰かに言わない・外に持ち出さない、という約束があります。


また、仕事などの外での立場をグループ内に持ち込まない、という意味もあります。

AA創設のころ、メンバーに医師がいたため、「AA独自の病院を作ろうじゃないか」と盛り上がったはいいけれど、出資者からの圧力や、外部との論争、内紛等々、本来のミーティングどころではない騒ぎになった経験から、たとえ医療・福祉・心理などのプロがいたとしても、グループ内ではあくまでも「一人の出席者」である、という約束になっています。

この経緯は、通称ビッグブック「アルコホーリクス・アノニマス」という本に出ています。

(⇩こちらです)

アルコホーリクス・アノニマス 単行本
Alcoholics Anonymous World Services Inc. (著), NPO法人 AA日本ゼネラルサービス (翻訳)

また、他の仕事などに関しても同様で、社会的な立場は一度外してからミーティングに出席しよう、という約束になっています。

グループに出席する人は、皆平等な立場である、という意味でもあります。

もちろん、グループに慣れた人が司会をしたりしますが、誰かが一方的に主導権を持ったり、意見を押し付けたりすることは無く、どの人にも同等に自主性と尊厳が保たれるよう、配慮されています。

自助グループは、医療や福祉のように一方向から与えられるものではなく、お互いに同等の立場で体験や気持ちを分かち合い、自主的に参加をする場所なんですよね。

この立場の平等性・自主性は、自尊心を傷つけられた人にとって、人間性の回復につながる、とても大切なシチュエーションになります。

アノニミティを守るガイドライン「12の伝統」

AAの考案した「12のステップ」を使っているグループには「12の伝統」という、グループ運営のガイドラインがあります。

簡単に言ってしまうと、アノニミティを守りましょう、ということが主眼になるのですが、この「12の伝統」の考え方は、民主主義の基本をとても上手く捉えていますので、自助グループと関わりの無い人でも、読んでみると興味深いのではないでしょうか。

こちら、その本です。⇩

12のステップと12の伝統 単行本(ソフトカバー) – 2015/5/13
Inc. Alcoholics Anonymous World Services (著), NPO法人 AA日本ゼネラルサービス (翻訳)



ブログ筆者  鈴木紗々夜  https://amzn.to/3MCIgqY
障害者就労で感じた無意識の差別、能力主義の不都合、制度の矛盾…等々…本人の体験から感じたこと、改善したいこと、これからの社会へ願うこと、などを書いています。ご興味がありましたら、どうぞご一読ください。よろしくお願いいたします。
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