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代理出産「真摯な願い」と「強迫観念」は別物だよ

undefined生きることの尊厳

2022年8月29日に出した、生殖補助医療法改正に関連して代理出産の合法化を進めようとする自民党案。

代理出産の条件つき容認案、自民PTまとめる 改正法案へ反映めざす:朝日新聞デジタル
 自民党の厚生労働部会は29日、生殖補助医療についてのプロジェクトチーム(PT)の会合を開き、一定の条件の下で代理出産を認めるべきだとする案をまとめた。代理出産は国内では日本産科婦人科学会が認めておら…

Twitterでも話題になっていましたが、本当に「怖い」と思うんですよね。

先天的に子宮が無い人などへの子宮移植が可能になるまでの時限的な措置を想定しているそうですが…。

子宮移植、日本医学会が「容認」 条件付きで生体移植も:朝日新聞デジタル
 日本医学会の検討委員会(委員長・飯野正光東京大特命教授)は14日、妊娠・出産を希望する子宮がない女性に対し、子宮移植を認める報告書をまとめた。国内で実施した例はないが、慶応大のグループが生まれつき子…

(↑2021年7月 日本医学会が子宮移植を容認)

なぜ、そうまでして、産めない身体の人に「人工的に」産ませようとするのか、疑問を感じるんですよ。


Twitterで、癌で子宮摘出した人が「産めない悲しみが解りますか?」と嘆き、子どもを持つ希望である子宮移植や代理出産に反対するのは酷い、と訴えていました。

子どもが欲しいのに産めない、というのは、悲しいだろうというのは解るんですよ。

けれど、事故で足を失くした人が「歩けない悲しみ」を語ることはあっても、「歩ける人の足を奪ってでも歩きたい!」とは訴えないですよねぇ。

この違いって、生殖に対する強迫観念なんじゃないかと思うんですよ。


他の方も散々言っていますが、代理出産って「貧困ビジネス」になりやすいんですよね。

「自分の意思で、なりたくて代理母になるなら、良いじゃないか」

と言う人もいるのですが、弱い立場の人が「嫌だ」と言えない状況を作るのは、簡単なんですよねぇ。

生殺与奪(金・居場所・社会的承認などなど)を握られてしまったら、Yes以外の返答は出来なくなるんですよ。

「Yes」と言わなかったら、その後死ぬ以外ないのではないか、という恐怖を感じてしまうんですよね。

立場の差を利用すれば、「自由意志で選択してよい」と言いながら、「強制」にできるんですよ。

なので、自己犠牲の美談って信用できないんですよねぇ。


なぜそんな強制までして「産まなければならない」と思い込まされてしまうのか。

これ、結構、「男の原理」なんだと思います。

自身のミームをできる限り大量に残す。それが使命であって、手段は選ばない。

その原理=欲望に答えるのが「女の使命」と思い込んでしまうと、番った男のミームを持った子どもを産まなければ(持たなければ)ならない、という強迫観念になるのだろうと思います。

子どもを育てたいのであれば、養子だっていいのですから。

他人の身体を支配したり、人工的に身体を改造してまで、新たな生命を産む必要はない、と感じます。

医学会員や政治家って、ほぼ男性ですよね。

だからこういうバイアスがかかりやすいのだと思いますよ。

けれど生殖医療って、他者からの精子や卵子の提供を受けることも多いのですから、自身が産ませることにこだわる理由って、一体何なんでしょうね。

(支配欲、所有欲なのかな?と感じますが…)

「子を産むことこそが女の幸せ」というのは、男性の欲を美化する言い訳を「通説」にしたものなのでしょう。


「代理出産は子宮移植が可能になるまでの時限的な措置」としていますが、この移植。

脳死からの移植を想定しているが、条件付きで生体移植も容認、となっています。

これがまた怖い。

障害者が「臓器」として「消費」されるのではないか、と…。

障害者って、大抵「嫌だ」と言えない立場にあります。

1993年の話ですが、「国立大学病院の教授らが、障害者の正常子宮を摘出」、という過去がありました。↓

障害者の健全子宮摘出問題に関する質問主意書:質問本文:参議院

以前は「普通に」そういうことが行われていた事実があります。

優生保護法(ゆうせいほごほう)とは、1948年昭和23年)から1996年平成8年)まで存在した法律である。優生思想優生政策上の見地から不良な子孫の出生を防止することと、母体保護という2つの目的を有し、強制不妊手術(優生手術)、人工妊娠中絶受胎調節、優生結婚相談などを定めたものであった。国民の資質向上を目的とした1940年の「国民優生法」を踏襲していた。1996年の法改正で優生思想に基づく部分は障害者差別であるとして削除され、法律名称も「母体保護法」に改められた[1]

Wikipedia
優生保護法 - Wikipedia

↓優生保護法が無くなった後でも、こういう例があります。

旧優生保護法 対象外でも行われた不妊手術の実態 - 記事 | NHK ハートネット
障害者への強制不妊手術を認めていた旧優生保護法(1948~96)をめぐり、国を訴える裁判が全国で起こされ注目を集めています。「不良な子孫の出生を防止する」ことを目的に掲げ本人の同意なく強制不妊手術されたのは、分かっているだけでもおよそ16,500人。しかし、その数に含まれない旧優性保護法の対象“外”でも不妊手術に追い込...

生体移植を合法化してしまうと、

「障害者には必要ないものだから取りましょう。」

「取ったモノは有効活用しましょう。」

という流れが出ると思うんですよね。

臓器移植の技術が進歩すれば、あらゆる臓器が移植の対象になるでしょうが、そうなった時、「障害者」という「一個人」が、単なる「臓器の集合体」と見做されるのではないか、と。

津久井やまゆり園襲撃犯の考え方に賛同する人がいる状況で、たとえ条件付きであっても生体移植を合法としてしまうのは、本当に恐ろしい、と感じます。


ヒトの生き死にって、本来「自然のもの」ですよね。

病気の軽減などの医療ならばともかく、他者の肉体を利用してまで生死を人為的にコントロールしよう、というのは、人として間違っているのではないでしょうか。

ヒトがヒトの生死をコントロールする。

一体、誰が誰のためにコントロールするのでしょう?

それはもう「人間」では無い、と感じます。

人間という生き物の尊厳って、一体何なんでしょうね。




ブログ筆者  鈴木紗々夜  https://amzn.to/3MCIgqY
障害者就労で感じた無意識の差別、能力主義の不都合、制度の矛盾…等々…本人の体験から感じたこと、改善したいこと、これからの社会へ願うこと、などを書いています。ご興味がありましたら、どうぞご一読ください。よろしくお願いいたします。
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